ニコポン体質の終焉

タレント島田紳助(48)が28日、同じ吉本興業の女性社員Aさん(40)に暴行したとされる問題で会見し、「ボクが100%悪い。ほんますみません」と事実関係を認め謝罪し、号泣した。吉本側は紳助に10日間の謹慎処分を科した。吉本によると、Aさんは話し合いを徹底して拒否し、一方で紳助を大阪府警刑事告訴した。吉本側はその事実を把握しておらず、“身内”のトラブルはドロ沼化しそうだ。 辛口トークで知られる紳助は濃紺のスーツ姿で会見場に現れた。その瞬間から泣き出しそうな表情。「どうもすみません。本当にすみませんでした」と涙声で頭を下げ涙をぬぐった。 紳助によると25日午後3時ごろ、大阪市北区朝日放送で「クイズ!紳助くん」(関西ローカル)の収録前、別の仕事で居合わせたAさんが話しかけてきたという。面識はなく、吉本の取締役を呼び捨てにするなど口の利き方が「無礼だ」と感じ、楽屋に呼んだ。 話し合っている過程で4、5年前に入社した吉本の社員であることが判明し「こんな無礼なヤツが会社におるんか」と一気に怒りが爆発。立ち去ろうとするAさんの髪をつかんで座らせ、平手で殴ったという。 Aさんが大声で「助けてください」と叫んだ時に我に返り、プロデューサーらが仲裁に入ったという。 またAさん側はツバを吐かれたとしているが、紳助は「自分では1分とか短いやりとりに思えた。本当に興奮して覚えてないですが、したかもしれない」と涙で釈明した。

島田紳助さんの件なんですけどね、確かに髪の毛掴んで殴るのはそりゃ既に「教育」じゃなくて「暴力」でしょ。とまあ、ここまでは一般論なんですが、社内の人間がそこで即110番して裁判!ってところが私としては気になるところであり、一方的に紳助さんを責められないのです。
まあ、やっぱり女性を殴ったらダメですけどね。

奇しくも、会社の別部署の上司のお話で「ニコポン会社」という言葉を聞きました。高度経済成長期の会社のあり方を示す言葉で「ニコニコしながら肩をポンと叩けば部下は辛い指示でも受けてくれる」と言う事みたいです。当時は働くことこそが男の唯一の仕事でもあり、家族や子供を養うためにとにかく一生懸命働いてきた。そして、終身雇用でかつ、未知のプロジェクトをこなし会社にも愛がある。そんな、仕事を愛し、家族を愛し、会社を愛してきたからこそお互いに無理を言うことも、時には辛い思いをさせることも黙ってこられたと思うのです。しかし現在は働いても稼げない景気の悪さ、家族の個人化*1、その終身雇用の制度の崩壊を取っても、どこに愛を持っていく場所があるのか?と言うことになります。そこで最後に残るのは「自己だけに対する愛」だと思うのです。

紳助さん曰く、自らの「歪んだ正義感」というのも「自己だけに対する愛」であり、他人を思いやることが出来たなら、手を出さずに諭す方法があったはず。仮にもし殴ったとしても(語弊ありますが)正しい殴り方があったはず。ただ、人を怒る時はその人に対しての「愛」がないと、間違いなく暴力になってしまいます。
殴られた方も「自己だけに対する愛」故に自分だけを守ってもらおうと行政や法律に訴える…そりゃ警察は行政は仕事だから機械のように裁いてくれるでしょうけど、なんか味気ない。示談にも応じないというからなおさらです。法律でしか守ってもらえない可哀想な人…という解釈も出来ますね。

この事件は紳助さんと、その女性だからこそ起こったことなのでしょうね。まあ、示談に応じない人間なんて世の中結構いますから*2。個人的にはそこら辺の人は次元の違う宇宙人かなと思ったりもします。

*1:結婚の条件に「お互いに一切干渉しない」と言う夫婦もいるそうで…こわー

*2:実家が自動車整備業なのでよくあります